ひどいタイトル

いやいや、-5くらいでやってますよー。たださー、仕事本が多くてさ、書きづらいんよ。書いてもつまんねえだろうし。
たとえば、じゃあ、絶対誰もブログーで褒めたり取り上げたりしない方面の本からいってみますか。もうほらうちは「誰も褒めないものを徹底して褒める」日記だから。もっと褒めろモンゴルの石とか。さて。

成功する要求仕様 失敗する要求仕様

成功する要求仕様 失敗する要求仕様

をやっと通読したんですけれども、ひどいタイトルだよねえ(笑)。ヨーキューシヨーなんてのを勉強しろって言われた人ですら、まず買わないよね。でもこれはとても良い本なんですよ。大御所が「やっぱさー、インクリメンタルに客とやりとりして反復すんのが一番だよ」と告白してる本。アジャイル以前のスキームでやってるオヤジを動かすのに、「あのアラン・デービスも言ってますよ」って言える本です。おれ会社に入るなり293の鉄則とか読まされたんだよねえ。
原題は"Just Enough Requirements"で、アラン・デービスがあえて"just enough"っつってるんだから、そりゃあ皆(少なくともそのスジは)注目するだろう、って本なのに、なにこの台無しなヤスい邦題。やりづらいのはわかるけれども、意訳に失敗し過ぎでしょう。
あと、同じシリーズだと、これは今年じゃないんだけども、よくいるCMMI至上主義者との終戦宣言(笑)にもなり得る
アジャイルと規律 ?ソフトウエア開発を成功させる2つの鍵のバランス?

アジャイルと規律 ?ソフトウエア開発を成功させる2つの鍵のバランス?

も素晴らしくて、かつ、本当に本当にひどいタイトルだった。原題は"Agile and Discipline"で、まあそのままだけどさ、そのまま過ぎんねん。キリツて。職場のアジャイル好きも、国内外でCMMI教育をずっと勉強してきたヤツも、こういう話に十分理解のあるガチのマネージャですら、「イイすよこれ」とこれを見せるなり全員

あー、これ、知ってて、デマルコのあれは読んだりしたけど、これだけは絶対買わねえ、と思ってたわ。マジで。

とゆわれましたよ(笑)。まあ確かに、誰も買わないだろ、このタイトルは。CMM/TSP/PSPと(ちょっとウォーターフォールとまとめて扱い過ぎてる感じはある)、いわゆるアジャイル(ちょっと極端ではある)との「調製」はどうやったらいいのかをとても良くまとめてある。びっくりするようなスキームは持ちこんでないんだけれども(結局は地味なパラメータ6本くらいの地味なレーダーチャートが全部だからなあ)、アジャイル勢かそうでないかに係らず、皆が賛辞を寄せているのも、わざわざこんな著者陣が出てくるのも、敢えてこれを耳目に晒そうという意図の現れ。たぶん、だーれも褒めないくらい地味だけど、職場でやるにはすごく大事なところを、ちゃんと説明してくれたね、と。CMM(I)一本槍な人を転ばす、あるいはアジャイルっつったらXPですよねってガキを追い払うのに最適。
ナマゾンで星2を付けている人が居るが、"Distilled"の執筆メンバーにすら「それはCMMIの間違った解釈」と噛みついているあたり、ちょっと字面に囚われすぎてるようなので気になさらずに。要件が決まらないとCMM(I)は適用できねえなんてことはないとか、そんなCMMI入門教育で毎回出る質問みたいなことを言わんでも。
とまあ、最近は、年度末なのもあってですね、時期も時期なんでね、割と破壊力のありそうな「実弾」をしこんでおるところですが、顧客要求を聞く場に居る身の人は、営業さんにしろマネージャさんにしろ、インクリメンタルな開発がイヤって人は実は少ないんだけどね。客はどうやったって勝手に要求を変えてくるんだから、それを現場が(多少のルールはあるとは言え)受け入れてくれれば楽に決まってるもの。むしろ本当の問題は、現場さんが「ぺあぷろー」とか言う割に実力がないとか、出来の悪いQAが役所仕事で「だめです」と言う方にある、という。


まあそれはさておき、

江戸川乱歩 (ちくま日本文学全集)

江戸川乱歩 (ちくま日本文学全集)

なんかもカバンには入れてあるんだけどねえ。今年は乱歩読み直し年間。春になったら読めるかのう。