境目

10冊台前半までは追い上げたはず。最近の読了。

造形集団 海洋堂の発想 (光文社新書)

造形集団 海洋堂の発想 (光文社新書)

タイトルの「発想」はなんだかもう、この新書シリーズのリーマンにおもねった感じ全開でどうでもいいですね(笑)。模型一本でやってきた宮脇さんの半自伝(もう半分は親父と造形師)。「発想」さえ省けば好きな人は読むでしょうし、そういう内容だから例によって面白いよ、しか言わないよ。ここだけ使わせてもらおう:

海洋堂の造形師は造形のプロではありません。プロは手を抜ける力があってこそのプロですが、ウチの造形師たちは(さいとう注:好きが基本でやっているから)抜き方が分からないのでしんどいことをしなくてはしかたがないのです。
毎日八時間、五日で仕上げるのがプロだとすると、予算が10万円しかないものでも、毎日15時間、土日も休まずまるまる一週間かけて作ります。
そうやって自分の身を削って作る海洋堂の芸風は、ガレージキット時代から脈々と流れています。その代わり真正面から作り込んだものはどこか違う。微妙なこだわりとでもいうのでしょうか。」

とても興味深いし、共感します。ただ、これを読んで「そうなんだよ、しんどくても土日かけてもやるんだよ」「なんつーか微妙なこだわりってゆーの?」と安直に盛り上がる前に、その週5日のプロでも海洋堂の造形師でも、仕上げている、ということは忘れないで欲しいね。客が受け取ってOKを出すようなゲンブツを実際に仕上げてねえんなら、この文章の土俵にすら乗れてねえんだよね。こだわりはゲンブツ出してからの話なのは当然。