無駄

backbeat2008-03-18

どうも知り合いのニオイがするid:chip_munkさんの日記で(リスです)、渋さ知らズの本多工務店(いつも気をつけていたのにとうとうやってしまった誤字)を観る。
無駄、だなあ。この世の無駄を掻き集めてよく捏ね、鍋のつみれの要領で油に放ったら見事全面に散った無駄の天かす。もう掻き集めたってくっつきゃしません。あちこちでじりじりと好き勝手に揚がる。
そういや今日、その天かす話をどこからか聞いた姉様が、笑ってクッキングシートを一箱持って来てくれた。曰く「のりの天ぷらが皺にならず揚げられるまで練習しなさい。私もお義母さんに教えてもらったよ。練習第一」。こんなオヤジの遊びに無駄だ、いや勿体ないな(笑)。第一、その練習第一ってのは以前、姉様がbashは難しいと言った時にオレが言った言葉だった気がする。お礼にポッキーブルーベリー味をあげた。こんどチャレンジしてみよう。閑話休題
さて、そういう無駄は好きである。どんぐらい好きかって、会社の入社式に出た直後、同期の顔合わせ飲み会も断り、ピットインにいかにも新人なスーツで走ってその工務店を聞いて踊ってたくらいだ。レゲエが好きなのもソウルが好きなのもクンビアが好きなのも、ひとえに無駄が多いからだ。無駄の無い音楽はつまらん。だからこぎれいなロックは好きじゃないのだ。無駄なまでにきれいだとか、無駄なまでにシンプルだとか、無駄な方面のバランスが尖っている音楽になれば、もちろん好きだ。僭越ながら無駄だけにはちょっとうるさいぞオレは。どうだ、無駄だろう。
それにしても、この渋さのコテコテなアングラ感はなんなんだろうな。一人一人、ひとつひとつもアングラだが、全体のまとまりのなさっぷりも実に。友達の実家でうっかり、そいつが中学生の時のガラクタが取りあえず詰めてある箱を開けちゃったみたいな。なんで彫刻刀の平刀だけ3本もあるの、みたいな。豊臣秀吉の下に赤線引いて「やばい」って書いてますが。単語帳の"rolling"の後に"stoons"って書き足されてもなあ。間違えてるし。また話がそれた。
だが。仕事だと、仕事の無駄がないようにうるさくうるさく言う。ここをこうした理由はなんだと。なんとなく言ってんじゃねえぞと。「ボクなりに」がなんぼのもんじゃいと。Googleで検索したら多かったがどうしたバカと。言い訳をすればするほど相手が半泣きになるまで、二度と言い訳しなくなるまで追い込む。仕事の無駄だからだ。
先日、コードの全てに理由があるようコーディングすべきだと言う話をいくつか拝見したが、オイラもカネ取るプロは是非そうすべきだと思う。手前勝手な思いつきで足引っ張られんのは無駄なんだよ。大体プログラムってのは論理を積み上げるもんだし。こういうのを追い込んでやり直しているうちに終電車がやってくる。まったく無駄だ。
でも不思議な事に、こういう無駄は反吐が出るくらいなのに、音楽を聴いてるときなんかは逆にそこが面白いんだよね。ああ、ソロが終わらないでしょ、どうするの、そこでそれかよガハハ、みたいのな。さて一体、この差はなんだべなあと考えた。根がマジメってのは違う。根は工務店だからだ。アングラはそんなに好きじゃないけどな。いい加減、古い。渋さは好きだけど。あと、カネを取らないプログラムな。ものによるが。


事は単純、「オレの無駄」をエンジョイせんがために時間を仕事に切り売ってカネにしておるのに、「まったくつまらんヤツの無駄」が更に時間を食うから腹が立つのだ。オレの無駄を返せと。おのれがどれだけ何を吹聴しようが自慢しようが泣こうが、それが「オレの無駄」に値しないかぎり、オマエは無駄なのだ。言ったろう。オレは無駄にはなかなかうるさいぞ。そんな程度がオレの無駄になるか。貴様のような半可通とは違うのだ。さあ、オレの無駄を返せ。
カネは無駄をエンジョイできるだけあればいいのだから、それ以上は無駄として返して貰わんと話が合わない(給料は安いが)。一方、全身が無駄(豚バラや100円本、スクリプト言語やワゴンCDやヒルトップマンションブルースなど)で出来ているような人は、それは「オレの無駄」なので、却ってすいませんねえと言う話だ。好みや趣味、主義じゃないよ。全然違う。無駄、だ。言ったろう。オレはうるさいぞ。
自分でもなかなか納得したので書いておく。恒例のがっかりオチ、皆様の時間の無駄になれば。