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で、もう一冊くらい今年中にいけるかなあと、半年積んで青カビなどをつけて(ウソ)熟成させていた

リファクタリング・ウェットウェア ―達人プログラマーの思考法と学習法

リファクタリング・ウェットウェア ―達人プログラマーの思考法と学習法

を手に取った。んだけども、これは休み明けに読むことに変更。というのも、今仕事で直面している問題にあまりに直結した内容をストレートに語っていくので、1章だけ読んで、仕事思い出しちゃって気分悪くなってきたから止めた(苦笑)。
いわゆるアジャイルに分類されるようなプロセスやプラクティスには、それが結局受け入れられる/られないにせよ、自分のチームで役に立った/立たないにしろ、共通した特徴があると思う。とてもエンジニアリングの本質に近い、「なんだこんなことか」というものが共通してるんじゃないかと思うんですよ。
例えばソーシャルブックマークにおける「タグ」とか、グーグルの検索ランクのつけ方なんかもそうだと思うんですけども、それが世の中に出てくるまではいろいろあって、模索や失敗もいっぱいあるんだけども、いったんそれが既知の技法として、手順なりなんなりにまとめられて明示されると「なんだこんなことなのか」と言うことが、便利なシステムを実現するための本質になるケースがある。で、特にアジャイルなプラクティスってのは、作る前にテスト書いてみいだの、リリースを少しづつ育てていけだの、コミュニケーションが大事だの、いかにも「なんだこんなこと」と言われそうなことばかりで、実際、よく言いませんか(笑)。
でも、この本質を自分から模索して実現「できる」人と、本質が明示されたら、なんだこんなことかと「わかる」だけという人には決定的な差がある。中華の達人のチャーハンレシピを読んで覚えてることと美味いチャーハンが作れるくらいに違う、イチロー打法を熟知している(笑わせるね)人とイチローくらい違う話なんだが、ここがチョクメンのモンダイでしてね。別にびっくりするようなチャーハンを作れと言ってないんだけども、もう隅から隅までイチローチャーハンじゃないとダメだとか、今日は湿気が多い(笑)みたいな理由でやらない。「そもそもイチローの本質は僕の理想と違って」とかもあります。500円のチャーハンなのに。
でだ。この本はアンディが、その「わかる」だけの人である「なんだそんなこと」組の説得、あるいはそうならないで「できる」ようになるだろう技法を、アジャイルラクティス由来の「なんだこんなこと」だけを使って説明していくという、野望に過ぎる野望の書なんではないでしょうか。わからない人にはわからない説明だけで、それができることを説明するというのは野望だよ。arton子が以前「ばかっていわれるとわかってて書いた」というような事(詳細失念、失礼)を書いていたのはたぶんこういうことかなあ。
まあ、エンジニアとしては開発におけるプラクティスであっても、上記のような誰にでもわかる本質を押えるのを良しとする、なんつーか矜持ってのがあるだろうし、そうあるべきだと個人的にも思う。それに最近はこういったプラクティスも随分浸透してきて、初めて会ったプログラマもちょっと振れば7割方は無条件で乗ってくる(勘違いしてすぐペアプロなどとほざくのは困りものだけどね)。素地は無いことはない。
年始休み明けに全部読んでみて、野望にどこまで加担するか考えます(笑)。でも、「わかる」だけの人はここまでの野望を抱かずに、ざっくりと

いい年して「ボクは飛んでいる人のことを『わかる』から、いつか僕も飛べるんだ」っていつまで思ってんだよ。人生半分近く生きてきて飛べないなら、たぶん一生飛べないな、って考えるのが普通の理系だと思うよ。
おまえは飛べなかったんだよ。

くらい追い込めばいいと思っちゃうんですけどねえ。飛べないということは『わかる』だけで十分だということがポイント。これであきらめて去るのも、「さいとう、ぜってえ殺す」と奮起してくれるのもよし。もう30年くらい飛べてないんだからさ、これくらいの爆薬仕込まないと地面にへばり付いてて飛べないよ絶対(笑)。