希望に至る道筋 第2話「子供エイティーズ」

さすがにこれだけ出張っていると、いろいろと生活に支障が出るもので、特に家族持ちの皆さんはナニが実にアレである。ある日の終電間際の帰り道。

「また今日も23時台でしたなあ」
「いやーしんどいねー、もう少しだとは思うんだけんども」
「Mさん、おうち大丈夫なんですか、2人目のお子さん小さいのに」
「大丈夫大丈夫。けどさ、仲良くしている板前さんの家族がいてさ、そのお父さんも仕事柄、土日は休めないんだよね」
「はあ」
「で、うちの家族、そこの家族と『土曜なのにおとうさんが居ない会』を結成(苦笑)して、毎週土曜はおとうさんが居ない同士で遊んでるから」
「さみーなーそれ。お気の毒ですなあ」
「うちは昨日帰って起きたら、子供に『おとうさん、今度帰ってくるときは、そのまえに手紙ちょうだいね』って言われました(笑)」
「がはははは。リカちゃんのお父さんかおまえは」
「…あー、おれ」
「なに?まだあるか、ネタが(笑)」
「こないだ、子供から伝言貰いました」
「伝言?」
「ええ。開いたら『おはようって いいたかった』って書いてあって」
「…」

ここでしんみりしてる程度では商売はできませんわ。鬼の肝食ってでも生きるんだよ。

「…杉真理か、お前の子供は(大笑)」
「ニューミュージック幼児」
「ああそんなロンリーモーニング タコウィンナー持って今日もようちえん」
「おつかれーっす」
「うーっす」