想定外

髪切った。この頭だと、まあ普通の床屋であれば、そんなに問題は無い。美容室の方がかえってまずかったりする。ヒゲと丸刈りは床屋に限る。何度か寄っている日の出町の床屋に行った。時節柄、WINS中抜けの親父がびっしり座っておる。うずまく加齢臭。みんな競馬新聞かFLASHのヌード写真かを熱心に見ている。順番になって椅子についたら、みかけた事のない若い兄ちゃんがついた。

「どうなさいますか」
「えー、三分刈りで」
「三分、だと、じゃあトップは三分で、サイドはどのように」
「いや、三分刈りの丸刈りです」(トップだサイドだと、この店でなに言ってんだと言う顔で)
丸刈り、というと全部三分ですね」
「...はい」(思わず他の刈り方をネタとして想像中)
「で、後ろはどうなさいますか」
「う、後ろっすか?」
「ラインとか入れておきますか」

あーうるせー

「いいえ、全部バリカンでサンブガリでマルガリでお願いします」

この年で「なんちゃってB」なんてやるかっつの。しかも日の出町の床屋だぞ。なんだラインて。
どうも美容室のくずれらしく、タオルをこれみよがしに投げてみたりマッサージがヘンだったり、いやに所作がしゃらくさい。夏に汗だくのオイラを冷房にあてつつ「おにいちゃん大変だなあ」とシッカロールを撒いてくれたおじさんが、隣で心配そうに見ていた。
まあでもなんとか、被害は「なんかちょっと斜めに刈り込んであるモミアゲ」だけで済んだ。