失神

帰りに珈琲屋で西語の勉強をしていたら、サラリーマン3名が痩せたおばさまを連れて入って来た。のだが、おばさん失神しとる。歩ける歩けないの問題じゃなく足が動いてない。オレの真横にうんせ、うんせと運び込まれたおばさま、目が寄って完全に意識が無い顔をこっちに向けとる。両腕は担いでもらうためか、後ろ手にハンドバッグを握ってるんだが、手が固まっててほどけない。リーマンの人がおばさまを寝かしつけ、彼らもやっと席に着いた途端、おばさまがむくっと起きて吉田日出子みたいな口調で「ごめんねえ」と謝った。意識があるのかないのかどっちなんだお前。
担いできたリーマン諸氏の話を漏れ聞くに、職場の飲み会に久しぶりに参加して、ジュースを頼んだつもりがサワーだったらしく轟沈したんじゃないか、との事。おばさまが手洗いに立ったあとで初参加らしい一人がこんなん言うてました。

「いやー、お酒飲めない人って、飲むとああなっちゃうんですね。初めて知りました」

ちげーだろそれは!あれは酔った顔じゃねえだろ!!失神してんだよ失神!飲んで歩けなくなるのと失神して歩けないのは違うだろ!...と思っているのに、この諸氏は

「まあオレも飲んだ帰りに記憶なくしたりするしな」
「おれなんか電車から記憶ないのにちゃんとバス乗って帰っててびっくり」

と話が収まっとる。ぜんぜんちがうよー。どうしてサラリーマンってのはどいつもこいつもすぐ自分の話に話題をすり替えるんだよー。聞いてないんだよ手前の事はよー。そんなに友達いないのかよー。お前ら目が寄って四肢が固まった酔っ払いなんて見た事あんのかよー!!
オレの読みを裏付けるように、しばらく休んだおばさまはすっかりピンシャンして帰って来た。貧血だなアレは。でもすっかり彼女は酔いつぶれた事になって、なにせ彼女も記憶がないしな、それで皆さんご帰宅されました。もーいーや。
とにかく勉強にもどって再帰動詞の応用を読むが、わかんねー。なんでもかんでも省略するなよ。今日はもうおしまい。