Antibalas Afrobeat Orchestra@渋谷O-EAST

最高。こんなに楽しく最高にかっこいいライブは久しぶりだ。
前座のジャムジャムしたバンドが長引くんだろうと思って隣接するバーで普通にJさんと飲んでいるうちにホーンズのリフが聞こえて来たら、本当に始めてた(笑)。ボーカル以外全員"Who is this America"のジャケと同じアレを被って(http://www.antibalas.com/pages/gallery/halloween-04album/pages/a06.html)、黒い肌に真っ白のステッチ入り裾広シャツが最高にかっこいいボーカルが客とコール&レスポンスをしていると、一人ずつマスクを取る。美術の先生みたいなのっぽのトロンボーン、小柄で音楽の先生みたいなトランペット、地理の先生みたいなバリトン(この人がリーダーだそうな)、飲んだくれの国語の先生みたいなテナー。この辺はみなちゃんとジャケットと襟シャツ。真っ青なスリムジーンズ、真っ赤なシャツ、黒ジャケットのドラム、まるっきりブリットポップなルックスのベース(ブラーと命名)、まるっきりナックなギター、恰幅のいいプエルトリカンのおじさんがもう一人ギター、フェラ・クティそのままの音が出るオルガンは丸刈りの古着屋に居そうな細い子で、シェケレの人もスキンヘッド。これだけ格好に統一がない連中が実際に組んでやっているってのは、却って間違いなくいいライブになりそうじゃありませんか。
最初の曲からもってかれっぱなしでグニャグニャ踊りっぱなし。曲も演奏もいい上に、なにしろメンバーが皆、演奏が楽しくてたまらない様子がとてもいい。ボーカルがブレイクを出すと黒ジャケが即タムを叩き、古着屋が手を挙げると先生ホーンズがリフを入れ、地理の先生がすっと後ろに下がると音楽の先生が実にかっちょいいソロを取る。反対側で観ていたナックはリフで踊りまくってギターが弾けない。笑いながら横のおっちゃんがギターをつなぐ。国語の先生はいつの間にか吹くのを止めて前に出て、半笑いでビール飲みながら客を観てユラユラ揺れている。フラフラ戻ったかな、と思ったらステージ最後部でサックス持って踊りまくって、戻った途端にテナーのハードブロウでソロ。これが楽しくない訳がない。フロントも入れ替わり立ち替わり。
途中30分休憩を挟み、フェラのカヴァーも入れながら2時間。そろそろ終電が近いのでバーに移って携帯から検索しながらJさんと相談。これ飲んだら出ましょうか、えーと、次の曲で決めます、と戻ったら、スーツ(彼だけスーツ)の背中にまで汗が滲んだテナーの国語の先生が前でマイクを持ってた。

「オーケー、じゃ、あの、これから、サイバンの曲をやります。私が"Indictment(告発)"と言ったら、皆さんは"Hanzai!"って言って下さい。いいですね」

他にもいい曲をてんこ盛りでやってくれていたのだが、昨日書いたとおりライブ名にまで入っているので、この曲だけはやっぱり聴きたくて粘ってたんですよ。二人で会場に来る時も「いんだいとめんと!」なんつって(cは発音しないそうです)。帰れないぞこれは。
酔っぱらってんだかキレると凄いんだかわかんない国語の先生が"Indictment!"と叫ぶ後に「ハンザイ!」とJさんと叫んでいるうちに中央前まで来てしまった。何度も叫んでいるとそのまま曲に突入。国語の先生も最初のアメリカマスクを付けて客席に突入。マスク欲しかったんでぶつかって来た時に捕まえたろうかと思いました(笑)。捕まえそこないましたが。走って戻った先生が「では、イチバンのハンザイです。いいですか。Indictment!!」と叫ぶのは、CDを聴いた方はご存知の、そうでない方は以前喪に入ったこのページを観ていると分かるアイツ。"GWB, Indictment!! Hanzai!!"と叫ぶ円山町の夜。本懐を遂げました。テンパったアレンジも効く最高の曲の次は、陽気なアフロで聴きたかったのだけど、マジで終電がマズいので0時過ぎに退散。なんとか終電で1時過ぎに桜木町着。
ライブもよかったんだけど、このOrganic Grooveってイベント(何度かやっているそうですが、初めて行ったんですいません)の客層もよかった要因だと思う。ガキを入れないってのもあるが、それ以上に、ここ重要、スカしてない。エアロビだろうがエラヤッチャだろうが踊りたきゃ踊る。騒ぎたきゃ騒ぐ。脱ぎたきゃ脱ぐ。変に迷惑を気にしたり、変に迷惑を強弁しない。どいつもこいつも老若男女もどういう人種も全く楽しそうだ。オン・ビートじゃないフレーズでも皆のりまくる。また機会があれば是非行きたいなあ。