ツール・デ・ノープロブレーマ

「こっちのツアーバスに乗って下さい」と言われてバンに乗り込み出発。オアハカ市郊外に来たあたりで、ガイドのおじさんが挨拶を始める。「今日は皆さん、ミトラ遺跡のツアーへようこそ」....おれモンテ・アルバン遺跡のツアーだぜ。運転手が「まあ明日行けばいいじゃん」と笑う。はいはい。まあどっちでもいいよ、もう走っちゃってるし。
ミトラ遺跡ツアーは大抵、エル・トゥーラ村にあるアメリカ大陸最大の木を観るコースが入っている。

ま、木、ですね。でかい。
近くには続々と同様のツアー・バン(バスじゃねえよ)が集まって来る。バンで一緒になった、メキシコを旅しながら西語を勉強しているという若い子と話していたら、ガイドが来て「モンテ・アルバンに行くツアーが居たから話しておいた。そっちに乗って」と言う。そっちのガイドは真面目そうな40代、乗っているのは家族連れか老夫婦。まあ大丈夫だろ。
乗り換えて着いたのが、やっぱりミトラ遺跡ツアーによく入っているオアハカ織りの実演即売会。

やたら、かっけーぞ、ばばあ。まあ買ってもいいのだけど、なにせガチの、敷物になるような織物を今買う訳がない。皆が買っている間、タバコを吸っているとガイドが話しかける。サムライがゲイシャがという、よくある話。まあ向こうも誰でも入りやすいようなバカっぽい話題を選んでいる訳ですよ。
いい加減出るかなあ、バン。...うお、こっちが出た。

「サー。計画を変えます」
「?」
「これからメスカルの試飲をして、食事をして、ミトラ遺跡へ行きましょう」
モンテ・アルバンに行くって聞いたぞ」
「メスカルおいしいですよ。サー」

噛み合わないぞ。そういえば同行者がたくさん居るじゃないか。「まあいいけど」とだけ言って様子見。どうやら、今日はさっきから小雨が降り続いているので、広い遺跡よりも村のすぐ横にある遺跡にしたいらしい。皆、なんとか納得したようなので、外れる事はないだろうと承諾。

遺跡は小さいと聞いていて、実際に小さいのですが、案外(失礼)に良かったです。死者の地。ガイドは実に丁寧に、西語の後に俺のためだけに英語で説明してくれました。なにかと「サー」と言うのが参るんだけども、まあそれは日本人だって同じヤツ居るもんね。
さて帰るかね。

「サー」
「なんですか」(やっぱりあれか?)
「メスカルを作る工程を見学してから帰りましょう。15分です」

マゲイ!!