スタート

さて。こちらも今年もよろしく。帰省前日に神保町に寄り、なんとなく入って面白そうだった古本をまとめて買って来た。オレがかったのはどっちも講談社の文庫。

外科の夜明け (講談社文庫)

外科の夜明け (講談社文庫)

近代外科を開拓した人びと (1969年)

近代外科を開拓した人びと (1969年)

これが大当たり。すごい。すごすぎる。お年玉だ(笑)。帰り道に「医学の夜明け」を読み出して、あんまり面白くて止まらなくて大変。1920年代の医者というキャラクターを立ててあって、彼が外科技術最大の転換点になった麻酔と消毒の発明前後に関わった医学者をルポするという体裁。
内容がすばらしく面白いのもあるんだが、その手術に至るまでの背景や麻酔発明前の実態を調べて起こしてある。足を切ろうが痛みを耐えるのが患者。耐えられないならそのまま、膿の臭いをさせて痛みに耐えて生きるしかない。麻酔や消毒を発明しても栄誉なんかありゃしねえ。世間から否定された麻酔屋はやっきになって麻酔の研究を(自分の身体で)進めてヤク中になって死ぬ。消毒屋は患者を救うのに熱心なあまり、成果が揃う前に基地外になって死ぬ。死んだ後継の医者は消毒法を笑い飛ばして元に戻す。
図書館にもあるみたいなので是非。ただ注意点が2つ。まず、かなり血みどろな描写があり、それを追わないと展開が分かりません。手術の話だからね。2章に腎臓結石を直腸側から(当然麻酔なしで)切開する話がありますんで、そこまでがグロでダメだと、止めた方がいいかも知れません。二つ目はこれ。
外科の夜明け―防腐法 絶対死からの解放 (地球人ライブラリー)

外科の夜明け―防腐法 絶対死からの解放 (地球人ライブラリー)

どういう本なんだろうかと帰って来て調べててわかったんだが、こちらは残念ながら抄訳。読みやすいそうですが、ストーリーとして読む時に肝心要の、上の腎臓結石の話が無いみたい。これは是非読むなら完訳で。ヘヴィーですが、それだけの価値はあります。