えほん

久しぶりに絵本を見に行った。あなどれないんです絵本は。ラブラブ新婚や、すかしたアーチスト志望だけに読ませておくのはもったいない。もっとオレみたいな労働者にも回せ。では、絵本を選ぶ時の3原則。こういうのが社畜っぽいな、オレは(苦笑)。まあ原則とはいえ、無論例外はあるんでしょうけども(美ブラストーン)、絵本コーナーに入る前に覚えておこう。

原則1. 「癒し」は避ける
最近よくありますなあ、大人の絵本なんてえのが。今あるはてなポイント全部篠沢教授に賭けていいが(野々村は先日ホームランだったので、ふしぎ発見の場合は考えさせてください)、ぜんっぜんつまらんです。医科臭い。絵本→こども→ジュンシン→私もそのジュンシンに戻れるかしら→ああ汚れてるわ今のあたし→でもジュンシンは忘れてないのよ、という、マゾヒスティックというか暗いくらーい自慰的な欲望が臭い。本もまた、これをスポイルし増幅するようにできている。大人ならもっと大人らしく癒されましょう。銭湯でふるちんで寝るとかね。ふりちん、かな。
原則2. タレントは避ける
上の症状が深刻化すると、自分で、たとえば「おさるちゃんはお腹を空かして泣いていました。『ぼくもおかあさんのおっぱいが飲みたいよう、きいきい』」なんてのを書いて売るようになります。結構あります。マドンナからみなみらんぼうまで。痛いから避けましょう。こんなん、構造的には主人公が保健室で女先生のでかい乳にむしゃぶりついてる学園エロゲーと変わりませんから。そのくせアーティスト面するところが恥知らず。そう考えると、ヲタだ電波だ負け組だと自分をひたすら卑下する、そういうエロゲー好きの皆さんは正直でとても好感が持てる(笑)。ただし、上の原則1にはまらないようにね。
原則3. オチがあまりに確定してるものは避ける
例えば「戦後*年を考える」って帯が付いてる「学校に行けなかった弟たち」とか、「夏休み推薦図書」の「おかあさん」とか、ちょっと毛色を変えて「名画で観るえほん:シャガール」とか、「落語のえほん」とか。最後のはちょっと興味があるかも知れないけれど、絵解きで噺を覚えてるガキってスゲー嫌じゃない(笑)?
それはさておき、これらに大体共通するのは、絵本は手段であって目的じゃないところ。字が読めて映画や高座で寝なきゃあ絵本は要らない。こういうのは、まあそういう小さい子にはなんらかのアレがナニかもしらない。だけども、10代以上の年齢になったら、どのジャンルもむしろWebを探すなり新書や文庫や画集でも買うなりした方が早いし安いし内容も濃いでしょう。大体字が読める年齢を対象としたあたりからこういう説教本が急増します。私たち大人は無視しましょう。

大人になってから意識的に絵本コーナーに入った事がないと、「じゃあいったいなにが残るんだよ。ぐりとぐら?ぐりとぐら?」と思うでしょうが、日本にはもっともっと宝があるんです。いや、ホントはこないだの少年文芸花くまゆうさくが褒めた五味太郎長新太から本格的に目覚めたんですよ。この2人は確かにすごい。オレは最初はガロから流れて佐々木マキの「変なお茶会」を観て驚愕して、あとはスズキコージとかテリー湯村とか、まあそういう流ればかりだったんですがね。そっちもいいけれども、ここを読む人だと、えーとまずは長新太マジやばいから読んでみって。
ザマゾーンでは多くの作品に「よくわかりませんが、うちの2才の子が何度も何度も読んでくれと持ってきます」とコメントが付いてる。よくわからなくても、ちゃんと「キャベツくん」のブタヤマさんがこんな風に言ってます。

たぶんそうかな、とおもったけど、ほんとうにみると、すごいねえ

そのとおり。絵のために話がある。だって絵本だもん。このへん重要。だから、ここが通っていれば何才でも読める。
一度絵本コーナーで2人の全著作を読んでみるといいですよ。コーナー全部探しても、ワンピース1話読むより短く済みます(笑)。刊行数が多いし、所謂「ヘタウマ」好きなら確実かと。....ただね、新聞にも載ったけれど、とても残念なことに、この6月に永眠されたのですがね(http://www.geocities.jp/doro2067/cyo-front.htm)。
今年はなんだか悲しい年だ。