カエターノ・ヴェローゾ@東京国際フォーラム

開演後第一声を聴いたとたんJさんが「うわ、本物だ」と呟いたから、当たり前だろと笑ったけれど、Jさんはこれは凄い、という意味だったらしい。しかし、いや全く。最高。近年こんな歌なんて聴いた覚えがねえ。
正直、知識は無いし文章は下手な方だから、できるだけそのまま具体的に分かるように書こう。"Prenda Minha"ってアルバムがありましたね。アコースティック楽器と歌だけで演奏してて凄いってーの。あっちは管も入ってましたが、今回はドラム、パーカス、ギターx2(カエターノ入れると3)、ベース、チェロ。打楽器と弦楽器のみ。チェロはあのモレレンさん。そういう伴奏でずーっとカエターノが歌う。MCは本当に数回、ちょっとだけ。ひたすら緩急も唱法も駆使しながら歌う。あのアルバムも良かったけれど、生はそれよりとんでもなく凄い。曲はほとんど既出のアルバムかこないだのカヴァー集からなのに、歌とそれを冴えさせる演奏の構成がすんばらしかった。参ったよ。ここ数年で最高のライブ。ってついこないだも書いた気がするが、それは「ここ数年で最高のチャーハン」と「ここ数年で最高のカツ丼」という違いがあるんです。ってそこで出るのがチャーハンとカツ丼かよ。育ちってのは隠せないもんだな(ビブラストーン)。
前に書いたように、ぐうたらなオレのせいで取った席は1階の一番後ろの方だったけれど、ジョアンの時もそうだった魔法のAホールPA。なぜ生ギターの弦の擦れやチェロの胴を叩く音までちゃんと録ってちゃんと聴かせられるのか。おかげであんな後ろでも目の前の演奏を聴くように楽しめたよ。しゃらくさいデザイン、堅物の案内、すかした客層と帝国ホテル(笑)、すげー離れた喫煙所、どれもまったく肌に合わないけれど、あのPAだけは本当に感心する。あれだけのためにでも行こうと思う。ありがとう。
あ、あとね、ちょっと、椅子も好き。寝やすい。